大阪産業大学産学連携研究推進事業
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プロジェクト研究概要

高度膜分離法による水中有害物質の分離・濃縮 微生物によるアオコ・赤潮の分解

尾崎 博明

エ学部・教授 環境工学

研究室紹介

衛生工学I研究室 CLICK HERE

現在の研究課題

・膜分離法による排水の高度処理-超低圧逆浸透膜の利用

・間接熱脱着法による土壌中、底質中ダイオキシン類の分離分解

・白色腐朽菌による高度排水処理法の開発

・超電導磁気分離法の環境修復技術への応用

期待できる効果

・膜分離法は今世紀に最も期待されている排水処理法である。超低水圧逆浸透膜の特性に関する研究の基礎として、有機性、無機性の各種排水の処理、内分泌撹乱物質など環境汚染微量物質の分離など、新しい排水の高度処理法とシステムが開発される。

・有害有機物、難分解性有機物を分解できる種々の微生物を見出し、これを固定化することによる新規な微生性処理法が開発できる。有害有機分解システム、汚泥やアオコの減量、分解システムを開発中。

・超臨界流体利用など、新規な化学的分解法の開発により、新規な有害物質分解法が開発できる。

・超電導磁石を用いる手法など、将来に期待できる夢のある環境修復技術を展開できる。

開発中の主な新技術・プロセス

高度膜分離(低圧逆浸透膜 ナノろ過膜)

高度膜分離(低圧逆浸透膜 ナノろ過膜)

膜分離法による水処理においては、ここ数年来、新しい性能を有する水処理用分離膜として、従来型の逆浸透膜、限外ろ過膜、精密ろ過膜のほか、前2者の中間の性能、すなわち高い水透過フラックスと溶質阻止性能とを有する超低圧逆浸透膜(ナノろ過膜)が開発され、応用への期待が高まっている。従来型の逆浸透膜は塩類阻止能が高く、環境中で見出される多くの有害物質も除去が可能である一方、水透過のために高圧が必要であることから実用性に問題がある。また、限外ろ過膜や精密ろ過膜により本プロジェクトで対象とする有機性及び無機性の有害物質を除去することはできない。本プロジェクトでは、各種有害物質除去用超低圧逆浸透膜の諸特性を明らかにした上で、実排水中の微量有害物質(各種内分泌撹乱物質等)を対象に超低圧膜分離を試み、同法による濃縮・分離の実用をはかる。すでに内分泌撹乱物質を含む多くの溶質について同膜による分離特性を明らかにするとともに、実排水中に存在する共存物質の影響についても明らかになりつつあり、実用しうるレベルにまで達してきている。

また近年、微量有害物質への膜分離活性汚泥法の適用が試みられ始めているが、本プロジェクトでは長期使用に耐える超低圧逆浸透膜利用による膜分離活性汚泥法についての検討を行っており、実現すれば高度な分離と分解を併せもつ技術が開発されることとなる。

特殊機能微生物利用(白色腐朽菌)

特殊機能微生物利用(白色腐朽菌)

とくに有害有機物ついては分解に有用な微生物の利用もまた重要な方法である。自然環境水中の有害物質としては湖沼等の富栄養化に伴い発生するミクロキステスなどの有害藻類を対象にして、これを分解または発生抑制できる微生物による有害藻類分解を試みており、すでにバチルス属の細菌が利用可能であることを見出している。工学的には有害藻類分解微生物を含む湖沼底泥を人工高分子物質により包括固定した固定化物を開発した上で、成型、加工して湖沼等に設置し、発生初期における有害藻類増殖制御、消滅をはかるシステムを開発する。本プロジェクトでは、このような有害有機物分解機能を有する微生物の固定化物を用いる水処理法及び、項目①のナノろ過膜を固液分離法とする新規な膜分離活性汚泥法(特殊機能微生物含有)との併用についても検討を予定している。

また、本学では水、土壌、廃棄物等中の多種の有害有機物を同時に分解する能力を有する担子菌類白色腐朽菌の応用に関する多くの知見をすでに有しており、新規な微生物処理システム構成を展開していく。

 

新素材電極による有害有機物の電解

本学の技術により作成可能な多孔のセラミックス多孔質体は内部通電性に優れている上に、耐薬品性、耐高温性など、耐久性に優れた特性を有しており、電極として使用することにより膜法や吸着法により得られた濃縮廃液中の有害有機物質を完全分解するシステムとして適用が考えられる。本来、電気分解法はいずれにしてもコスト高になると考えられているが、対象を有害有機物や難分解性物質(COD物質)に絞ると、従来法でもかなりのコストが必要である一方、電気分解法では電極反応によるアンモニア除去や、鉄利用によるリン除去、水素生成に伴うエネルギー回収などの余得が期待できる。

間接熱脱着法

間接熱脱着法

有害有機物(ダイオキシン類等の内分泌撹乱物質やその他の有害有機物)で汚染された土壌をほとんど完全に処理する方法としては、すでに溶融固化法(ジオメルト法)が開発されている。しかしながら、1,600℃~2,000℃程度の高温で加熱する必要があるため、エネルギー消費が多い上に、装置も強固なものが必要である。より安価な方法として間接熱脱着法(500℃~600℃)が有望な方法であると考えられており、本プロジェクトでも間接熱脱着法の実用化のために、とくにダイオキシン類をターゲットにして処理効果と生成副生成物について詳細な検討を行っている。最終的な結果を得るにはさらに検討が必要であるが、現時点においても残留成分の存在が認められており、効率的な後処理の必要性があると考えられる。(残留成分(副生成物を含む)を吸着除去する方法もあるが、吸着剤が廃棄物となる。)本プロジェクトでは、残留成分を超高温水蒸気により分解する新プロセスを開発中である。

またさらに低温での有害有機物処理を実現するために、触媒利用による200~300℃での加熱分解処理について実現をはかる。

超高温過熱水蒸気分解

本学での研究開発を行っている燃焼合成による多層セラミック多孔質体は、内部層が導電性を有するため、直接通電や外部からの誘電過熱によって容易に1500度以上の高温発熱体となる。また、この多孔質体は3次元網膜構造を有するため、毛細管現象により各種溶液を吸い上げることができる。これらのセラミック多孔体の特性を利用すると1,000度以上超高温過熱水蒸気を発生させることができ、これを用いる排ガスおよび飛灰中のダイオキシン分解、土壌中の高濃度有害有機物分解に上項の間接熱脱着法との併用処理などの実用処理法の開発を展開していく。